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執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座(5)「DMにチラシを入れるな!」

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。


DMの根本的な間違い

前募集手段としてDMを利用している塾も多いことだろう。ところが、ここでも大きな間違いを犯している。最も大きな間違いは封筒の中にチラシを入れてしまうことだ。簡単な挨拶文の最後に「詳しくは同封のチラシをご覧下さい」とやってしまう。これでは反感を買うだけで誰も電話を掛けてはくれない。


どんな人でも売り込まれるのは嫌だ。あなたも紳士服売り場に行って何気なく商品を見ているところに店員がやって来て、「いらっしゃいませ。スーツをお探しですか? 何色ですか? 大きさは? ちょっとはおってみますか?」などと言われたら逃げ出したくなるだろう。だから最近の小売店では客の近くにはすぐに近寄らないというマニュアル化がされている。売り込まれると人は逃げるようにできている。誰もが「お前のペースに巻き込まれて思わず買ってしまうのはシャクだ」と思う。


ほとんどのDMは、手にとった瞬間から売り込みだと分かってしまう。だから受取人は封も開けずに捨てる。中身がよく分かるようにというので、透明の封筒を使うところがあるが、チラシが折りたたんで入っているのが見え見えになっている。あなたの塾にも様々な業者からDMが届くと思うが、その時のことを思い出してほしい。熱心なあなたは、何のお誘いか、どんな教材案内か見ることもあるかもしれないが、ほとんどの人は中も見ずにゴミ箱行きか、見たとしても、それだけで発注することはないだろう。


母親を対象とする塾のDMで最悪なのは次のような展開だ。夕方、母親が帰ってくるとポストにDMとかポスティングのチラシがどさっと入っていて、買い物袋やバッグと一緒に抱えて家の中に入って来る。「何だろう」と思って荷物を抱えたまま苦労をして開封する。苦労して開けた瞬間にチラシが出てきたら、母親は怒る。「何なのこれ!」と反感を買う。それを、ほとんどの塾がやっている。これは塾だけに限らない。私のところにDMを送ってくる車のディーラーも、リゾートマンション販売業者も同じ間違いを犯している。みんな反感を売って歩いている。


DMは手紙である

では、どうするか?

DMはダイレクトメール、つまり直接届く手紙のことだ。言葉どおり「手紙」にしなければならない。あなたのお友達、あるいはお友達の息子さんに向けるつもりで、ちゃんと手紙を書く。A4版でせめて3枚ぐらいの量を書く。表題を「入塾のご案内」などとしてはだめだ。「ご案内」と見た瞬間に人は用紙をひねりつぶす。当然、手紙なので季節の挨拶から始め、ご両親のご苦労をねぎらい、あなたの教育理念を伝え、その上で適切なオファーを提示する。熱意を伝えようとすれば長文になって当たり前なのである。思い出してほしい。「反応率は文字数に比例する」という原則を。


見た目でDMと分かるDMの開封率は大変低いという現実がある。封筒にも細心の注意を図らなければならない。

  • 透明、窓空き封筒よりは何事もないありふれた封筒のほうがよい。

  • 宛名はシールより手書きがよい。(数量によっては無理があるが)

  • スタンプよりは切手を貼ったほうがよい。(市内特別郵便の場合は無理)

  • 封筒に売り込みと分かるキャッチコピーは載せない。(「今なら入塾金無料」とは書かない)

  • ただし、開封を促すコピーは可。(「時間がありません。緊急のご案内です」等。)


そう、手紙なのだから封筒にごちゃごちゃとキャッチコピーや飾り文字は使わない。文面も「ご案内」はダメだ。よく、長すぎる文面は読まれないというが、長い文章を読まない人は短い文章にしても読まない。DMは意識の高い母親だけが読む。当然、塾の熱意がこもった読み応えのある内容でなければならない。


通販の売り上げ1位のベネッ○コーポレーションは誰でも知っていると思うが、2位は通信教育を販売している会社だ。「ペン習字」「宅建」から「マジック」「庭木手入れ」「家庭大工」など、ありとあらゆる講座を売っている。ここに資料請求をするとDMがどっさり送られてくる。新聞広告とDMだけで売上を作っているので、さすがに考えられたDMを送ってくる。そのDMが決まって「縦書・明朝体・長文」だ。ゴルフ練習器を通信販売している有名な○○ゴルフ教室という会社のDMも全く同じパターンで作られている。よろしければ一度資料請求してみるとよい。ゴルフ雑誌には必ず広告が載っている。DMを利用している塾は大変参考になるだろう。


DMは手紙なので、当然「拝啓」で始め、「敬具」で終わる。「追伸」を忘れずに。DMを受け取った人は、「文頭」「文末」「申込書」の順番に見るというデータがある。決して順番通りには読まない。チラシと同様、興味を持ってから全文を読み始める。だから文末には「追伸」でオファーを提示する。


申込書を同封する場合は「別紙・別色・別字体・別サイズ」にする。この「申込書」は重要だ。これが粗末だと反応率は低くなる。例えるのも気が引けるが、かつて問題になった金や着物をめぐる詐欺商法の場合、決まって申し込み用紙や預かり書は立派に出来ている。

また、電話での申し込みだけよりは「24時間受付FAX」を併用すると反応件数は増える。保護者の生活パターンが多様化しているので、深夜にDMを読む層が増えている。ここでも、できる限りハードルは低くしておく。


塾生獲得実践会も入会を勧めるDMを送ることがある。すると、問い合わせの電話のとき、多くの塾長が、「お手紙をいただいた何々塾の誰々ですけど」と言ってくれる。ここが大事。読んだ人に、売り込みのコマーシャルをされたと思わせずに、手紙をもらったと思わせないといけない。「あの塾からお手紙をいただいた」と。そう思わせないとDMは効果がない。封筒にチラシが入っていると、それだけで手紙と認識してもらえない。


同様に、ハガキDMをされている塾は今すぐやめたほうがいい。ハガキでも効果のあるDMを作ることは可能だが非常に難しい。なぜなら、ハガキの場合、封を開ける間(ま)もなく、見た瞬間に売り込みと分かってしまう。また、どうしてもスペースが狭いため売り込み中心の文面になりやすい。あなたの家にも紳士服販売店や眼鏡屋から「はがきDM」がいっぱいくると思うが、ほとんど見た瞬間に捨てているはずだ。あなたの塾が地域のブランド化しているなら別だが、そうでなければハガキDMはお勧めしない。どうしてもハガキDMをやりたい場合は、見た瞬間に目立つように、「無料」という文字をつけることだ。それならばとりあえず見てはもらえる。どちらにしてもハガキDMは反応が薄いと覚悟した方がよい。


チラシとDMの働き

塾によっては不特定多数を対象とするチラシよりも、対象のはっきりしたDMの方が費用対効果が高いと考え、DMのみで集客を図っているところがある。短期的に見れば一理あるのだが、その手法はあまりお勧めしない。なぜなら、DMは「今すぐ客」のみに送られるので、「明日の客」には届かない。つまり、見込み客を作ることが出来ない。これでは塾の評判を拡げることは難しい。常に顧客を再生産しなければならなくなる。チラシは不特定多数の目に触れるチャンスが大きいだけに、作り方次第で見込み客を作り出す武器にもなる。ただ、これまで指摘してきたように、ほとんどの塾が「今すぐ客」を対象としたチラシを作ってきたため、10分の1程度の威力しか発揮してこなかっただけだ。


チラシにはチラシの、DMにはDMの働きがある。その役割分担を考えて併用すれば、まだまだチラシ・DMは有効な集客手段である。

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