エディブロ ネットセミナー 中小塾のための「集客の極意」22-評判を作る[6]-評判を作る前提としての口コミ-
- 森智勝
- 4月2日
- 読了時間: 5分
この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。
※このコラムは2015年4月にエディブロ導入塾に配信されたメルマガからの転載です。 以前もお話したことがあるかと思いますが、評判を考える場合に重要なことは「口コミ」との違いを意識することです。 口コミと評判を同じカテゴリーに入れて考えると、失敗することが多くなります。口コミとは、「何でもいいので塾のことを話してもらうこと」です。それに対して評判は、文字通り「塾の評価を広めてもらうこと」です。そして、口コミは主に現役の塾生(および保護者)によって広められ、評判は主に塾生ではなくなった生徒(および保護者)が広めてくれるという性格を帯びています。
「単純認知の法則」があります。
人は、初対面の人よりも何度も会っている人に親和性を感じます。初めて聞いた時には違和感を持った曲も、何度も聞いているうちに「いい曲だなあ」と思うようになります。たとえば私は「よしだたくろう」のコンサートで披露される新曲にはトキメキませんが、「洛陽」のイントロが始まった瞬間に興奮の極致に達します。
(50代以上の方にしか通じない「たとえ」で済みません。若い人ならAKB48の新曲よりも、「ヘビーローテーション」の方が「いい曲」に感じてしまうことです)
つまり、生徒も保護者も初めて見聞きした塾より、何度も話題になったことのある塾の方に親和性を感じるのです。 口コミの重要性はココにあります。同じ「成績が上がるよ」「教師が熱心だよ」という評判を聞いたとき、ほとんどの人は親和性を持つ(以前から知っている)塾を選択するものです。評判を作る(生かす)ためには、その前提として塾の認知度(口コミ)を浸透させておく必要があるのです。
口コミはあくまでも「塾のことを話題にしてもらうこと」ですから、極端な話、テーマは何でもいいのです。 私は塾経営者時代、校舎の前に「リスの置物」を設置し、入り口には「暖簾(のれん)」を提(さ)げました。近隣の子どもたちに「何や、アレ!」と言ってもらえば成功だと考えていました。 リスの置物は掲示板を首からぶら下げており、そこには日替わりのメッセージを書いてあります。「今日は運動会だね。みんな、頑張れ!」とか「テストが近い、脇目もふらず勉強せよ!」とか…何もない日は「今日は『目の日』です。君の視力は大丈夫?」などと書いたりしました。 正直、内容にこだわりはありません。それでも、登校途中の中学生が目をやり、読んでくれるようになります。
「お前が通っている塾、リスが掲示板をぶら下げているな」 「あれ、塾長の趣味なんや、恥ずかしいわ」
こんな感じで自塾のことが話題になれば目的は達したことになります。(もちろん、ここに「熱心だ」「成績が上がる」という評判が重ならなければ意味がありません)口コミは必要条件であり、それだけで絶対条件ではないということです。
多くの塾が口コミと評判を同じものと考えているため、硬直化したマーケティング戦略になっています。 たとえば、販促グッズひとつをとっても、「何か勉強に関係したものでなければならない」と考えて「名入れのシャープペンシル」や「クリアファイル」に行きつきます。それでは口コミを発生させることができません。
私も何度も失敗しました。忘れもしません。塾生にスケルトンの名入れシャーペンを配った時です。それを手にした塾生が、おもむろにカッターナイフを取り出し、塾名を削り始めたのです。「お前、何やってんだ!」と咎めたところ、彼は「だって、カッコ悪いじゃん!」と言うのです。見ると、彼のペンケースには何本ものシャーペンが無造作に突っ込まれていました。
以後、当塾の販促グッズは変貌します。ペンは「にょろにょろ」(そんな名前だったと記憶していますが)という持てない、書きづらいボールペンになりました。すると塾生は友人に「うちの塾、こんな意味のないボールペンを配っているんだぜ」と話してくれるのです。
これは一例ですが、「口コミは何でもいいから自塾のことを話題にしてもらうこと」と定義した瞬間、様々な呪縛から解き放たれ、マーケティング戦略の視野が圧倒的に拡がったものです。
グッズだけではなく、イベントもそうでした。何か学習に関連したイベントでなければならないという固定概念を外せば、塾生が喜んで参加できる、友人を誘って参加できるイベントを企画することができます。
これも一例ですが、ボーリング大会という安直な?イベントを開催したことがあります。 参加条件は3人一組のチームを作ること。チームにひとり塾生がいれば、あとの二人は誰でもいいというルールです。中にはボーリングが得意な友人を誘って参加する塾生がいます。兄弟と父親でチームを編成する家族もいます。(もちろん、大人や女性にはそれなりのハンデを付けました)
太っ腹な賞品を用意したこともあり、予想外の参加者を得て盛り上がったものです。(塾外生からは連絡先等の情報を収集したことは言うまでもありません)
こうして口コミによって地域に親和性を拡げ、認知度を高くしておくと、評判を拡げることに大いに役立つものです。
「知る人ぞ知る…」は、何十年も常連客が通うような居酒屋ならば通用するでしょうが、塾というビジネスモデルでは圧倒的に不利です。ぜひ、「誰もが知っている塾」を目指してください。