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執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座57 マーケティング的授業を意識せよ!

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

春の募集時期も山場を過ぎました。今年の募集状況はいかがだったでしょうか。ビジネスは実験と検証の繰り返しです。今春のデータをしっかりとデータベース化して下さい。この作業を疎かにしていると、結局、行き当たりばったりの募集活動を繰り返すことになります。さて、今回は私の専門ではない教務(授業)のお話をします。もとより、教務のスキルについて語る力量は持っていないのですが、マーケティングの観点から授業を見直すと、思わぬ改善点が見つかるものです。

塾講師は演出家であり役者だ!

かつて「授業を売るな、感動を売れ!」というテーマでお話したことがあります。講師が、ただ解法を説明するだけなら、教室の前方に大きなスクリーンを据えて、映像を流しておいた方がコストカットにつながります。しかし、それでは生徒に感動を与えて行動に移させることはできません。 「感動」とは期待値を上回る部分を指す言葉です。人は、払う対価によって期待値が決まります。その期待値までの「見返り」に対しては「当たり前」と感じ、何のリアクションも起しません。ところが、期待値を超える「見返り」を得ると…つまり、感動すると、その感動を誰かに伝えずにはいられなくなる性質を持っています。素晴らしい映画を見たとき、友人に「ねえ、あの映画見た?」と話しかける…あの状態です。 親はもちろん、授業料という対価を払っています。同時に、生徒も「苦痛」という対価を払っているのです。毎日の授業で、その対価を上回る「感動」を提供することが塾の講師には求められています。 授業はドラマと似ています。題材が同じでも、脚本家、演出家の力量や俳優の演技力によって駄作にも感動作にもなります。授業で言うと、教科書や問題集は全ての塾に共通の題材です。それを講師がどう演出し、どう演じるかによって、つまらない授業にも感動的な授業にもなります。公立学校の教師と違い(本当は学校の教師にも必要なのですが…)塾の指導者には生徒を惹きつけるパフォーマンスの能力が必要です。 チラシや案内でキャッチコピー(見出し)が重要なように、授業では最初の5分、導入部分が大切です。ここで、生徒が授業に集中できる準備をさせます。講師がふらっと入室して、「え~、では教科書の○○ページを開いて…」と授業を始めたのでは、「ああ、今日もつまらない1時間が始まった」という印象しか与えないでしょう。元気よく笑顔で入室し、生徒の興味を惹きつける話を導入部分に持ってくる工夫が必要です。 こうした話をすると「そんなに多くの話題が見つかりません。」という意見を聞くことがあります。それは、「あなた」が行動に移していないのでアンテナが立っていないからです。ニュースレターの話題のときにお話したことですが、人は意識をした瞬間にアンテナが立ち、それまで見えていなかったことが見えるようになります。今度、車をセルシオに買い替えようと思った瞬間から町を走るセルシオが目に留まるようになる、あの現象です。以前からセルシオは走っているのですが、アンテナの立っていない人には見えないだけです。「毎日、一つ話をしてあげよう」と意識した瞬間に、新聞、雑誌、テレビ、家族との会話、町の風景…ありとあらゆるところから情報が飛び込んできます。人には必要なときに必要なことが起こる…いわゆる「シンクロの法則」の正体はコレです。 これは冒頭の「つかみ」に限った話ではありません。塾の指導者は、様々な場面にマッチした「小ネタ」をいっぱい集めて、心の引き出しに保管しておく努力が必要です。 当然、その日1時間の授業をどうストーリー展開するかという組み立ても大切です。冒頭の「つかみ」が上手くいっても、だらだらと抑揚のない授業では生徒はすぐに飽きてしまいます。どこにクライマックスを持ってくるか、そこに向かってどう盛り上げるか…観客である生徒たちの反応を見ながら工夫をしなければなりません。「あなた」は演出家であり、役者なのですから。そして、最も重要な場面は「最終盤」です。どんな素晴らしい物語でも、エンディングがつまらなければ興醒めです。ここで、余韻を与える強烈なインパクトが必要です。なぜなら、モチベーションの維持には限界があるからです。 授業の大きな目的の一つに生徒のモチベーションを高めることがあるのは誰も否定しないでしょう。しかし、モチベーションは時間と共に低下する性質を持っています。それを知っているテレビの通販番組は、何度も何度も電話番号を表示し、「今すぐお電話を!」と繰り返し促すのです。ましてや、塾の場合、次に生徒たちと会うのは1週間後です。1週間モチベーションを保てるだけの余韻を与えないと、生徒は家で自主的に勉強はしません。 多くの場合、宿題を出して授業を終了することになるのですが、その宿題に「義務感」を感じさせたり、苦役と思わせてはいけません。その宿題の意味、意義をしっかりと伝え、生徒たちが積極的に宿題に取り組めるように誘導して授業を締めくくることです。

生徒は「あなた」に共鳴する

最後に、最も大切なことをお話します。「共鳴の法則」です。

「類は友を呼ぶ」という言葉があるように、人のエネルギーは共鳴し合うようにできています。指導者が一生懸命ならば、生徒も一生懸命になります。指導者が積極的ならば生徒も積極的になります。では、生徒に勉強してもらいたければ…もう、言うまでもありませんね。 塾講師の仕事は、「教えること」だけではありません。学校の教師ならばいいでしょう。彼等は四十人を前に授業をしても、離島の分校で二人を前に授業をしても収入は変わりません。なぜなら、「教えること」に差はないからです。でも、塾の生徒が四十人いたのが二人に減ってしまったら…収入どころか、塾そのものが潰れてしまいます。塾にとって「教えること」は必要条件であり、けっして十分条件ではないのです。塾講師の仕事は難しい。でも、だからこそ塾人冥利とも言えるのでしょう。

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