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執筆者の写真森智勝

中小塾のためのマーケティング講座48 企業査定のプロの視点はコレだ!

この記事は塾生獲得実践会の森智勝氏のご厚意により、全国学習塾援護会のHPから転載したものです。

私は仕事柄、多くのセミナーに受講生として出席しています。一見、塾とは関係ない業界のセミナーでも思わぬヒントが得られるものです。と言うよりも、実は異業種から得られる情報の方が「大きな気付きになる」というのがマーケティング界の常識です。この紙上講座で紹介してきた様々な戦略・戦術に関しても「ホテル」「新幹線」「コンビニ」…はては「建築業」から得られたものが多くあります。 最近、帝国データバンクの査定担当者の話を聞く機会がありました。様々な企業を調査・査定し、点数化するという仕事をしている最大手の企業ですので、みなさんご存知だと思います。ただ、通常は年に1回程度電話が掛かってきて、簡単な売り上げ、従業員数の確認をするだけのお付き合いをしている塾さんがほとんどで、あまり親しいイメージは持たれていないことでしょう。しかし、調査する側の視点に立って自塾を見直すことはとても重要です。多くの塾にとって参考になると思いますのでご紹介します。

定量評価と定性評価

帝国データバンクでは企業調査の依頼があった場合、「業歴」「資本構成」「規模」「損益」「資金現況」「経営者」「企業活力」等を数値化し、100点満点で評価しています。(ちなみに、過去の最高点はトヨタの99点だそうです。)それを86点以上-A、66点以上-B、51点以上-C、36点以上-D、35点以下-Eと、5段階でランク分けしています。これまで調査した123万社あまりのうち、Aランクはたったの27社、Bランクも9千社弱、9割の会社がC、Dランクになっているそうです。平均点は46点です。 さて、興味深いのは評価の方法が「定量評価」と「定性評価」に分かれていることです。定量評価とは文字通り数字で評価できる自己資本比率等の財務状況や経常損益を指します。この分野では中小塾は何ともしがたいものがありますが、興味深いのは定性評価です。数字では表せない「経営者の人物像」や「職場の活気」等も重要視しているのです。その中で「危ない会社の見分け方のポイント」を教えてもらいました。代表的なものを以下に列挙しますので、自塾に当てはまるかどうか、チェックしてみてください。

*経営者について

□ ワンマン経営である。 □ 内紛がある。 □ 経営とは関係ない肩書きが多い。 □ 不在のことが多い。 □ 家庭が円満ではない。 □ 活気がない。 □ 意思決定が遅い。 □ 公私混同が目に余る。 □ 従業員をけなす。 □ 人が良すぎる。

*従業員について

□ 有能な社員が退職している。 □ 社長や幹部に対する悪口が増えている。 □ 電話対応に身が入っていない。 □ 所在無げにしている従業員がいる。

*その他

□ 事務所やトイレが清潔ではない。 □ 不審な人物が出入りしている。 □ 会議が多くなっている。 □ 人材育成がないがしろにされている。 □ 後継者がいない。 □ 本業以外への投資が目立っている。

定性評価を上げる努力を

チェック項目はまだまだあるのですが、いかがでしょう。耳の痛い項目がいくつかあったのではないでしょうか。

例えば「従業員をけなす」では、こんなことを言う塾長が多くいます。「最近の若い先生は生徒を叱ることができなくて、いつも授業中がざわついている。静かにさせるように言っているのだが、全く埒(らち)があかない。」塾長本人は講師をけなしている意識はないのでしょうが、これはハッキリ言って塾長の職務怠慢です。静かにさせる仕組み(ルール)を作って、実行させなければなりません。

今、話題の「行動科学マネジメント」では次のような対応策を取ります。

① 教室に「私語厳禁」「3度注意されたら教室から退室」という張り紙を張る。 ② そのルールは入塾案内にも明記し、意識の徹底を図る。 ③ 講師には厳格にルールを守らせる。(該当生徒は実際に退出させる。)

ただ「静かにさせろ」と言っているだけでは何の効果もありません。対応策も講じずに講師の力量不足を嘆いているだけではダメです。 また、「公私混同が目に余る」では耳の痛い個人塾さんが多いのではないでしょうか。未だに生活費と経営費の区別が出来ていない塾があります。これでは計画的な経営などは望むべくもありません。子供に対しては「計画的に学習することが大切だ。」と説きながら、自らの塾経営に関しては「どんぶり勘定」の塾が本当に多い。以前も主張したことですが、そうした家内制手工業的な経営体質の塾は(これは塾に限らず、どんな企業もですが)生き残れなくなります。 「後継者がいない」も深刻な問題です。塾業界では「団塊の世代」に属する塾長の割合が非常に高い。今後、後継者問題は急を要する課題です。他塾に売れる?塾は幸いですが、後継者がいない多くの塾は廃業せざるを得ません。営業していればこそ、机も黒板もパーテーションも資産ですが、廃業すれば粗大ゴミになり資産価値は0です。それどころか処分代が掛かってしまいます。また、地元に密着した優良塾が消えてしまうのは社会的損失です。 「活気」という目に見えないエネルギーは本当に重要です。以前、ある中堅の塾を訪問したときのことです。事務所に入ると、そこにいた全てのスタッフが仕事の手を止めて起立して出迎えてくれました。私の挨拶に全員が「こんにちは!」と大きな声で返してくれました。部屋中に活気がみなぎっているのが分かります。きっと、保護者が訪問したときも同じ対応をしているのでしょう。そうかと思うと、声を掛けても「来訪者の対応は私の仕事ではない」とばかりに、そこにいたスタッフのほとんどが黙々と自分の仕事に熱中している塾もありました。その差は歴然です。活気のある塾は、通っている生徒も元気です。ある塾は、すれ違う生徒みんなが私に「こんにちは」と声を掛けてくれました。私が子供の塾を捜している保護者ならば、それだけで入塾を決意したことでしょう。 ぜひ、あなたの塾もチェックしてみてください。査定のプロの視点から自塾を見直すと思わぬ発見があるものです。いえ、もしかしたらプロではなく、保護者と同じ素人の視点も必要なのかもしれません。塾人は狭い世界で生きている人が多いものです。視野が狭くなると、一般常識として当たり前のことに気付きません。業界内にいる私ですら塾訪問をしたときに十個程度の問題点を指摘できることが普通です。プロにチェックリストを作ってもらい、素人にチェックしてもらう…そんな仕組みが必要なのでしょう。 「学び」「気付き」はどこにでも存在しています。要は、あなたのアンテナが立っているかどうかの問題です。

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